トレモロホリディ

ポットに入ったお茶を湯のみに注ぎ、トレーの上にコトンと並べて置くと、


ユラユラと上がる湯気を、ただじっと見つめた。


めぐるちゃん…。


大きな仕事をもらえたんだ。


夢に向かって本当に頑張っていたんだね。


すごいな…。


仕事の目処が付いたら連絡するって手紙には書いていたのに 、どうして何も言って来ないのかな?


CMだけじゃまだ納得出来ないとか?


それとも彼女は、湊君のことを本当にもう忘れてしまったのかな…。


こんなこと思うのはズルイってわかってるけど。


それならそれで、私にはその方がありがたい。


だけど…。


湊君は…?


さっきの湊君の


めぐるちゃんを食い入るように見つめる瞳。



それから…。




『めぐる…』





私とは違う。



呼び捨ての…。



恋人の呼び方。



すごく切なそうに



そう呟いた湊君は



私の知らない





初めて見る顔だった…。