「見た目は派手に見えるけどね。

あの子達、すごくいい子なのよ。

大変な仕事なのに、よく頑張ってるしね。

私はご飯を作るしか能がないから。

こうやって自分が出来ることで、あの子達を応援してあげてるんだ」


目尻にシワを寄せて、優しい瞳で笑う穂波さん。


知り合ってまだ間がないけれど、穂波さんの人柄が私は大好きだ。


あ、そう言えば。


金髪のミナト君と私の部屋が隣同士だって、穂波さんに言った方がいいのかな?


でも、もしかしたら自分のアパートの場所を秘密にしているかもしれないしね。


私が隣に住んでいることは大した問題じゃないし。


黙っておこう。




「ご馳走様ー」


穂波さんと話し込んでいたら、店内からやけに通る声が響いてきた。


「あ、お会計だね。ミナちゃん、頼める?」


「はい」


私は慌てて暖簾をくぐって、レジの前に立った。


「500円ずつになります」


二人にそう告げると、私の手の平に500円硬貨が2枚置かれた。


わぁ…。


二人とも指が長くて綺麗…。


バイトですっかりカサカサになった手を二人に見られるのは、なんだかやけに恥ずかしかった。


「じゃあ、また来るねー。

穂波さん、ミナちゃん」


赤い髪の彼に名前を呼ばれ、私は目を見開いた。


ミナト君と名前が似ているから、覚えてくれたんだ。


「ご馳走様ー」


ミナト君もにっこり笑って手を振る。


やだー。


笑顔がすごく眩しいんですけどー。


私と穂波さんは横に並んで、二人の美しい後ろ姿を見送った。