トレモロホリディ

メールのやり取りが終わると、私も湊君もゴロンとベッドに横になった。


なんだか言葉が出なかった。


つい最近まで、キャビネットで眠っていた湊君の絵が。


こうして誰かの目に触れて。


欲しいと言ってくれる人の元へお嫁に行くなんて…。


「タダであげてもいいって思ってたのに、いざ手放すとなると、妙に寂しいのはどうしてかな…」


湊君が天井を見ながら、ボソッと呟いた。


「ん…。

だって、自分の作品だもの。

愛着があるだろうし、自分の子供みたいなものなんじゃないかな?」


「子供…かぁ。

確かにそうかもね…」


「きっと大切にしてくれるよ、その人。

だって、湊君の絵が本当に好きだって、何度も書いてたものね」


「うん…。

俺の作品を初めて買ってくれる人が、その人で本当に良かったよ…」


湊君は、ほっと安堵の息を漏らした。