トレモロホリディ

湊君がいつになく寂しそうに言うから。


胸の奥がきゅうんと音を立てた。


そんな。


そんなの…。


私の方が。


湊君よりもずっと…。


「み、湊君。

私ね、多分ここから通うと思う…。

電車は2回乗り換えになるけど。

朝早く出れば、充分間に合うと思うし。

それに私、引越し費用がないから」


それは本当のことだ。


引越しばっかりしてたら、引越し貧乏になっちゃうし。


それより何より。


湊君と、離れたくないんだもの…。


「そか。


それ聞いたら、なんか安心した。


あっ、でもさ。


生活が逆のパターンになるよね。


俺が仕事から帰る頃に、美菜ちゃんは会社に行っちゃうし。


美菜ちゃんが帰る頃、俺は仕事に行くし…」