トレモロホリディ

「俺が引き受けよう」


「はいー?」


なんだ、それ?


「撃沈したら、俺が面倒見てあげるよ」


にっこり笑う壮真君に、穂波さんが白い目を向ける。


「そういうこと軽々しく言わないのよ、壮真君」


そうだ、そうだ。


穂波さんの言う通りだ。


そんなつもりなんか、全然ないくせにー。


「ははっ、俺がこんなこと言っても、信用してもらえねーか」


穂波さんも私も、大きく頷いた。


「でもまぁ、そんなことになった時は、ちゃんとなぐさめてあげるから。

安心して、湊を好きになればいい」


えーっ!


そ、そんなこと言われても…。


「美菜ちゃん。

壮真君の言ってること、そう的外れでもない気がするわ。

私も湊君の事情は知っていたけど。

なんか彼、最近明るくなったしね。

絶対美菜ちゃん効果だと思うの。

例の彼女からは、もう一年以上も音沙汰ないのよ。

今さら戻ろうって、ちょっと虫が良すぎると思うわ」


うーむ。


穂波さんにそう言われると、妙に納得してしまう。


「美菜ちゃん、頑張りなよ!

私も壮真君も、二人のこと応援してるから。

可能性はゼロじゃない。

むしろ高い数値だと思うわ」


穂波さんの言葉に、壮真君もにこにこ笑う。


そ、そんなこと言ってその気にさせてー。


もうっ!


どうしよう!!!