トレモロホリディ

そう指摘されて、急激に心臓の鼓動が速くなってしまう。


「あ、あのっ。

それはその、好きは好きなんですけど。

でもこの好きは、恋愛の好きとは違うんじゃないかと…」


「そうなの?」


「はい。

ただ、一緒にいるとすごく楽しくて。

いくらでも話が弾むし。

なんかホッと出来て、居心地が良いし。

ずっと一緒にいたくて。

なんか、離れ難いっていうのはあるんですけど…」


そう言った途端、店内がシンと静まり返った。


あれ?


なんで二人とも沈黙?


正直な気持ちを話したのに、なんかキョトンとしてない?


どうしていいかわからず固まっていると、急に穂波さんがプッと吹き出した。


「ふふっ。

美菜ちゃんって本当に面白いのね。

もうそれってさ。

大好きって言ってるようなものじゃなーい。

間違いなく恋愛の好き、だよ」


堪えきれずクスクス笑い始める穂波さん。


壮真君も肩を震わせて、必死に笑いを堪えているようだ。


そんな二人を見ていたら、一気に汗が噴き出した。


私が湊君を恋愛対象として好き?


う、うそぉ~!