トレモロホリディ

湊君は、きっとその彼女のことが大好きなんだろう。


不安ななか、今でもその子のことを待ち続けているんだろう。


いつか、その子が戻って来るかもしれない。


そうしたら私は…。


「美菜ちゃん」


「ん?」


「おなかすいた…」


「はいー?」


「ご飯~」


だだっ子のような口調の湊君に、思わずクスッと笑ってしまう。


「うーん。
あんまり時間ないから、パスタでもいい?」


「やった!パスタ大好き。

俺、クリーム系がいいなー」


「はいはい。わかりました」


そう言って湊君から身体をゆっくり離すと、


湊君は少し恥ずかしそうに目を両手でこすっていた。