トレモロホリディ

その時、カチャッとドアが開き、ドキッと心臓が大きく跳ね上がった。


「ふ~、あち~」


タオルで頭を拭きながら、部屋に入ってくる湊君。


やばっ。


いろんなことを考えていたから、スケッチブックを閉じるの忘れてた。


「ん?」


そう言って、湊君がテーブルを覗き込む。


ドアのすぐそばにテーブルがあるから、パッと閉じるわけにもいかず、私は固まってしまった。


「あ、あの…」


やばいよね。


見ちゃいけなかったよね?


ど、どどどーしよう。


「ご、ごめんね」


そう言ってきゅっと身体を固くしていると、湊君があぁ…と呟いた。


チラッと上目遣いで湊君の顔を見てみると、湊君は少し悲しそうな目をしていた。