トレモロホリディ

「あ、そうだ。

スケッチブック、見せてあげる約束だったよね」


湊君が立ち上がって、キャビネットの引き出しを開ける。


そこから取り出したのは、数冊のスケッチブック。


「高校時代に書いたのは、ほとんど自宅に置いて来たんだけど。

ちょこっとだけ、持って来たのもあるんだ」


「見ていいの?」


「うん」


私は早速、一番上にあるスケッチブックをそっとめくってみた。


「わ…あ…」


スケッチブックから飛び出して来たのは、カラフルで繊細な美しいイラスト。


星や花や人が描かれていて、とても抽象的ではあるけれど。


色使いがとても綺麗で、全体から受ける印象はとても明るい。