トレモロホリディ

早速二人でケーキをいただく。


「うわー。これ、おいし~。

下のクリームとチョコの部分、最高だねー」


「うん。ちょうどいい甘さだ」


「う~ん。幸せ~」


私の緩んだ顔を見ながら、湊君がクスッと笑う。


「このコーヒーも美味しい。

爽やかな後口だね」


「たまにはいいでしょ?

きちんと淹れたコーヒーも」


もう夕方なんだけど。


私達にとっては、朝みたいなものだから。


ケーキの甘さとコーヒーのほろ苦さが、寝起きの身体に染み渡るようだ。


こうして一緒にケーキを食べていると、やっぱり女の子と一緒にいるような感覚になっちゃう。


だからすっかり騙されてたんだよね。


ゲイだって…。