トレモロホリディ

玄関のインターホンが鳴ったのは、もう既に自分のベッドで半分眠っていた頃だった。


ムクッと起きて玄関を開けると、湊君が立っていた。


「ごめんねー、遅くなって。

あ…、もしかしてもう寝てた?」


「うん…」


目をこすりながら返事をすると、湊君が申し訳なさそうな顔をした。


「ごめんね。

せっかく寝てたのに、起こしたりして。

美菜ちゃんにお土産買って来たんだ。

スイートキッチンのケーキ。

これで許してくれる?」


「ケーキ?」


「うん。

前にあそこのケーキを食べてみたいって言ってたでしょ?

近くまで行ったから買って来たよ」


用事がある時は別々に寝ようかって言おうと思っていたのに。


そんな嬉しいこと言われたら、何も言い出せなくなっちゃうな…。