トレモロホリディ

「だってさ、その方が安全でしょ?

今日はたまたま助けてあげられたけど、

次は助けてあげられるかどうかわかんないし。

だから、しばらく…さ…」


ミナト君の思わぬ提案に、心臓の鼓動が早鐘を打ち始めた。


私の手の向こうにある、ミナト君の心臓もすごいことになってる。


もしかしてミナト君も、ドキドキしているってこと…?


「…なんて、ね」


ふぅと、ミナト君の溜め息が私の頭にかかる。


「ごめん。

それは表向きな理由っていうか、適当な言い訳っていうか、建前っていうか…」


ブツブツと、沢山の言葉を並べるミナト君。


なんだかよくわからないまま、私はミナト君の腕の中でじっと耳を澄ませていた。



「俺が、単に…。


ミナちゃんと一緒にいたいだけなんだ…」