トレモロホリディ

それは、一瞬の出来事だった。


視界が急に暗くなったかと思ったら。


私の唇に何やら温かいものが触れていた。


「ん、んんっ?」


うそ……。


こ、これって、もしかして。


キス……なのでは?


気がつけば、ミナト君の左腕は私の背中をガシッと抱き寄せていて、ピッタリ身体が触れ合っていた。


そして私の顔は、ほぼ真上を向いた状態で。


後頭部を彼の手にグッと支えられていた。


少し強引に押し付けられていた唇が、優しい感触に変わる。


唇の角度が変わったその直後。


私は無意識にミナト君の真っ白いシャツに、ぎゅっとしがみついていた。