トレモロホリディ

「コイツ、田舎出身の世間知らずなバカなんですよ。

そんな子を騙して貢がせるなんて、あんたもひどい人だねー。

俺とミナ、ホントに久しぶりの再会なんだよ。

邪魔しないでくれないか?」


ちょっと待って。


今、なんて言った?


ミナト君が私を騙して貢がせてる?


「先輩。

私は何を言われてもいいけど。

ミナト君にそんなひどいことを言わないでください」


許せない。


ミナト君のこと何も知らないくせに、見た目だけで勝手に判断したりして。


悔しくて涙が出て来る。


そんな私に気づいたのか、ミナト君が振り返って私を心配そうに見つめた。


「ミナト君、ごめんね……」


ミナト君は関係ないのに、こんなひどいことを言われて。


本当に申し訳ない……。


あまりに悲しくて俯いていたら、急にミナト君が私の腕をぐいっと引っ張った。