トレモロホリディ

「ミナちゃん!」


その声に顔をハッと上げると、先輩の肩の向こうにミナト君の驚いた顔が見えた。


「ミナト君!」


名前を呼んだ途端、なぜか目に一気に涙が溜まってしまった。


ホッとしたのかもしれない。


先輩は私の手を握ったまま、後ろを振り返った。


「あんた、誰…?」


怪訝そうに、ミナト君に問いかける先輩。


「あんたこそ何やってんの?

ミナちゃんが嫌がってるだろう?」


「ミ、ミナト君。

も、元彼が来たの…」


私の声に、ミナト君が目を大きく見開いた。


「元彼が、ここに何しに来てんだよ……」


金色の前髪の隙間から、ミナト君の瞳が鋭く光る。


こんな表情をする彼を、初めて見た気がする……。


「あぁ~っ?

俺とミナは、これからまたやり直すんだよ。

邪魔だから、部外者は帰ってくんない?」


ちょっと!


誰がやり直すって言った?


そんなこと、ひと言も言ってなーーーい!