「う、ん…。

私もそうかなって思ってたんだけど。

特に会話するでもないのよ。

ただカウンターに座って、黙々食べて帰るだけ」


「は?」


「ミナちゃんはミナちゃんで、あんまりミナト君に話しかけないし」


「えっ、マジで?」


ケンカでもしたとか?


いやいや。


ケンカなんかしていたら、わざわざ一人で食べに来るわけねーし。


「ただねー、なんか二人ともやけに疲れた顔をしてるのよねー。

ミナちゃんなんて、仕事中何度もため息つくのよ。

一体どうしちゃったんだろう」


疲れた顔?


へぇ…。


あの子、いつも元気そうなのにな。


体調でも悪いとか?


え、でもミナトは?


俺はミナトに気づかれないように、奴をじっと見てみた。


漫画を読んでいる姿さえ綺麗で、感心してしまう。


ミナトに関しては、店ではいつも通りに接客していた気がするけどなあ…。


「なんか、色々と意味不明っスねぇ…」


俺の言葉に、穂波さんが何度も頷いた。