――――ガッシャーン


「あなたの顔なんて見たくないわ」


「俺だってお前と好きでいるんじゃない!」


目の前で壊れたガラス製の食器。


リビングから聞こえてくる喧嘩。


そっとリビングと廊下を仕切るドアの隙間から見ていた私。


幸せが壊れた瞬間。


歯車が狂いだしたのはいつから?



「お父さんとお母さん、何で喧嘩してるの?」


びっくりした父と母の視線がこっちに集中する。


父が呼吸と整え、平然としたように言う。


「ゆきな、自分の部屋に戻って寝なさい」


それでも私は言うことをきかない。


「ゆきな」


父がもう一度私に行けと言う。


でも私も引き下がれなかった。


そんな私に言った母の一言。


「あなたなんていなきゃよかったのに・・・」


「やめろ!子供の前だぞ!」


父が母に手を挙げた。


パ―――ン







「・・・ハァハァ・・・・・」


バッと飛び起きた。


――――ブーッブーッ


鳴っていた、携帯のアラーム音とバイブを止めた。


久しぶりに昔の夢を見た。


幸せの終わりが形となった日。


最後に見たのはいつだったのだろう?


それは自分でも覚えていないくらい昔の記憶。


でもそれは思い出したくない悲しい記憶でもある。