仁志side

部活が終わった。帰り道は、南々と一緒だ。なぜなら、一緒に住んでいるから。

僕と南々の両親は、一年前から、転勤で東京に行ってしまっている。

娘を一人で置いていくことに抵抗した、南々の両親は、僕の家に南々を住まわせることにしたのだ。

もちろん、好きな女の子と2人きりだ。下心がわかないわけでもない。

でも、南々が良いというまで、僕は待つつもりでいる。

『仁志?どうしたの?ぼーとしてるけど…』

「なんでもない。南々。ぎゅーてして良い?」

僕の秘密。

それは、南々の前でだけ、手話をせずに、話すということ。