「南々ちゃん、仁志くんがよんでる。」

ふと振り返ると、仁志が楽器を手に立っていた。

『どうしたの?また、良、発作?』

「なんて?」

芽衣をはじめとする金管楽器のメンバーに仁志が言っていることを通訳するのは、私の役目だ。

『そうみたい。』

『芽衣ちゃん、良、重く、ないの?いつも、お疲れ、だね。今日も、いつもの、症状、出てるんでしょ。一緒に、いて、あげて、いいよ。』

「芽衣、仁志が、良は重くないのか?いつもお疲れ。いつもの症状が出ているなら、そばにいてあげていいよ。だって。」

「私、力あるから重くないよ。いつもの症状はでてるけど、私も真面目に部活しなきゃだから、大丈夫。良くん、寝てるし。ありがとう。」

すぐさまそれを仁志に伝える。

これでも仁志は、金管のパートリーダーなのだ。だから、大抵のことは融通をきかせてくれる。

そんな仁志が、私は大好きだ。