片思い

「前髪切ろうかな」

部屋の鏡に映る自分の前髪をつまむ。
肩まで伸びた襟足。
真哉に初めて出会った頃は偉くばっさり切ってしまったショートカットがボブに成りかけていた頃の事。

あなたに恋をして、髪の毛を伸ばし始めたの。
女の子らしく
可愛く
何より、真哉に似合う様な子になるために。


私は鏡を机の上に持って来て、その下に新聞紙を敷く。
ハサミで伸びた前髪を切る。
これまた偉く短く切ってしまった。
でも少し思い切りがついた。


明日朝、逃げるのはやめよう。
会って伝えなくちゃ。
言い訳の前に気持ちを。

私爪をフレンチにしようと思う。
真っ白だと何にでも染まってしまうから
爪の先だけは黒くして、何にも染まらない気持ちで、抑えようと思います。
上手く出来るか分からないけど、上手に塗れたらあなたに最初に見せたいと思います。
誰とも握手せず、あなたに最初に見せたいのです。