片思い

「.....」

私の右手首を掴んだ人物。
それは真哉だった。

「小山さん?この人知り合い?」

真哉を知らない山田先輩が私に尋ねる。

しまった!今二人きりだった。

「柚紀那、最低。一昨日の俺の誘い断って、違う男とデートかよ」

「違う!聞いて」

「言い訳だろ?」

捨て台詞を吐いて、隣に居た友達3人を連れてプールから上がって行く。

「待って、真哉!お願い!」

流れるプールに沿って流される私。
その逆へ去っていく真哉。
最後の力で叫ぶ。

「真哉!お願い。今日あの場所で待ってるから!」

友達が引き留めても真哉は言うことを聞かない。

やっとプールから上がれた頃には真哉の姿は無かった。

「先輩、すみません!私先に帰ります」

「なんかごめん。あの二人にも言っておくから」