「はぁ はぁ はぁ…」

晶は駅へ向かって走っていた
待ち合わせの時間は11時
現在の時刻は11時10分…
王子様こと長谷川晶はあろうことか
待ち合わせの時間に遅刻していた

あーもう!
これも全部あいつらの所為だ!



〜2時間前〜

ピンポーン

「「あ〜き〜ら〜く〜ん〜」」
幼馴染が呼んでいる

「なんだよ2人とも?いつもは勝手に入ってくるくせに」

「なにってそりゃ…わかるだろ?」
「ねぇ…そんなの決まってるじゃん…」

嫌な予感がする

「「晶君のコーディネートに決まってるじゃん!!」」

やっぱり…

「いいから、そういうのいいから」
買い物行くだけなんだし…

「ダメだよ晶?ちゃんとおしゃれしないと!!」

「なんで?」

「お前はジャージかスカートで行くのか?」

うっ…
祐希のくせに痛いところついてくる…
そう、僕は学校では男と偽っているが休日の服装は普通の女の子となんら変わりない
もちろん男物の服なんて一着たりとも持っていない

「やっぱり…ほら行くぞ晶!服買いに行くぞ!」

そして服屋へ…

「おぉ〜晶ってやっぱイケメンだな…男としてなんか負けた気がする…」

「あとはそのボサボサの髪をなんとかしないとね」
奈菜さんよ…
君らがあんな時間に来たから髪がボサボサなんだよ?

「よーし次は美容院だね」

美容院へ…

「お客さんデートですか?」

違います!

「「初デートなんでイケメンにしてやってください!!」」

なんで君たちが言うのよ…

数分後…

「出来ましたよ〜」
おぉ〜美容師ってすごいね
本当にイケメンみたいな髪型になった

「「おぉ〜」」

「晶かっこよくなったね〜」
とニコニコしながら奈菜が近づいてきた

嬉しくない…
嬉しくないよ…

「よーし、行ってこい晶!」
なんなんだよ本当に…

奈菜が少し不安そうに口を開いた
「そういや待ち合わせは何時なの?」

時計の時刻は10時55分…

10時55分?!

「ヤバい!11時に駅前集合なのに!!」

「えぇ〜どう頑張っても間に合わないじゃん」
祐希がわざとらしく言った

お前は時間知ってたよね?

「ヤバい!ヤバい!ヤバい!僕行くね」

「「頑張って〜」」

なにを?なにを頑張れって?
そんな事を思いながら晶は駅へと走った


「はぁはぁはぁ…はぁ…確かこの辺りでよかったはずだけど…」

すると目の前に誰もが振り返る美少女が立っていた
僕は彼女を知っている

小走りで近寄ってくる

「長谷川さーん遅いじゃないですか来ないかと思っちゃいました…」

かっ可愛い…
なんだこの生き物

「長谷川さん?」

我に帰る

「ごっごめん準備に手間取っちゃって…
本当にごめんね」

「いえいえいえ謝らないでください!」

「でも…遅れたのは事実だし…」

「じゃあ手繋いでもいいですか?」
え?
いや〜ダメでしょ
とは言えず
「そんなことでいいなら