明らかな敵意に静かな怒りが湧く。何故こんな言い方をされなければならないのか。

「あたしがここに居たら駄目なの?」

口調が強くなるが、そんなことは気にしない。あたしは間違ったことは言っていないつもりだ。

「別に?けど君がここにいる理由が分からない」

理由?そんなものは決まっている。同じ舞台を夢見ていたからだ。海里や聖冶と同じ景色を見たいからだ。

けれど彼はあたしの答えを聞く前に口を開いた。元から話を聞く気がないかのように……。

「どうせ君の”海里”と同じとこに立ちたいとかくだらない理由だろうけど。でもここはそんなに甘くないよ」

何も知らないくせに。
理由なんて興味もなかった癖に。

くだらないなんて、決めつけないでよ……!

それが顔に出たのか、聖冶が不安気にあたしの表情を伺う。それでも彼は気にせず続けた。

「ここは君がいる場所じゃない。さっさと諦めたら?」

あたしは、彼がキライだと確信した。
そして彼もまたあたしがキライなのだと理解した。