どこにでもありそうな普通の町の
レベルが高くも低くもない高校。
特徴といえば、春になると色とりどりの花が咲くことが自慢らしい。
生徒のほとんどが意識したことはないんだけど。
そんな普通の学校に通うのはやはり普通の生徒。
私、浅瀬菜月もその一人。

「あ~。やっと授業終わったよ」

長い髪を左右に振る。容姿も普通な私にとっても、この長くて艶やかな髪はちょっとだけ自慢。

「菜月!かーえろ!」

くるんとした栗色の髪の毛に細くて小さい可愛らしい女の子が私に声をかける。
この子は私の親友。小宮実花だ。

「うん!ねえ、帰りに駅のとこに出来た新しいグレープ屋さんに行こうよ」
「それ、賛成!」

急いで帰り支度をし二人で階段をかけ下りる。
実花は可愛い。大好きな親友。
そして私には、大好きな人がもうひとりいた。