沈黙に耐えられず、俺はそそくさ家に逃げた。 …なんてビビリなんだろう。 自分でも、本当に飽きれるさ。 この腕の中に抱き留めたいのに。 好きだと伝えたいのに。 笑顔が見たいのに。 なにも、できない。 ボーッと過ごしていると夜。 ―――――――――コンコンコン 久しぶりに聞く音。 それは、隣の家の隣の部屋である夏菜子が、俺の部屋に遊びに来るときの秘密のノックだった。