「行くぞ。」 気づいたら手を引っ張っていた。 こいつに好きなやつがいるということが信じられなくて。 自分を許したくなくて。 今更後悔したって全部手遅れだなんてことはわかってて。 それでも、とめられなかった。 だって俺は、こいつが、 夏菜子が、好きだから。 「………え?知、君?」 夏菜子が驚くのも無理ねぇよな。 こうして触れ合うのなんて、何年ぶりなんだろう。