「香ちゃん、電話出てもええ?」
「おん、頼む」
受話器を取り「はいもしもし甘田です」と早口に言うと担任の声で「あれ、時和?」と聞かれた
「あれ、どないしたんですか?先生」
「いや…復旧を待つから最低でも1週間学校休みなんだ。連絡網回そうと思ってな」
「ああ、解りましたわ」
「で、何でお前は甘田の家にいるんだ?」
「あー…えぇと…うちらが幼馴染みって事知ってはりますよね」
「ああ」
「それで家がオートロックで入れなくなっちゃって」
「親御さんは?」
「えっと、…かお、」
香が後ろから私の持っていた受話器をとって耳に当て「代わりました、甘田ッス」と言ってから親がいない事、二人で生活する事や昨日のことを伝えた
「お前ら…なぁ…あとで様子見に行くけどなァ危なくなったら早めに避難するんだぞ、いいな」
「あい解りました。…次の人に回しますね。はい。…はい」
香が受話器を置いて私の腰を押してそのまま床に腰をおろしたので戸惑いながらフローリングに向かい合わせで座った
「ど、どないしたん香ちゃん」
「…一応いうとくけどな」
「はい?」
「お前が『甘田です』ー言うたら結婚したように聞こえるからアカンやろ」
「そうか!あっちゃー」
「ほんまにあっちゃーやで。連絡網回そ」
「おんならうちは…洗濯モンなおしてくる」
「乾いてなかったらそのままでええからな」
「あーい」
洗濯物を全て取って、タオルや服を畳むと箪笥になおした。ハンガーとかを端に寄せてダイニングに戻ると香にエプロンを渡された。香は「着けえ。…交代で飯当番な」と呟いた
「夜はうちか。なら一日交代でお風呂掃除な!」
「おっけ」
「甘田ー!時和ー!お邪魔しますー!」
「あ、先生や!香ちゃん行くで」
「おん」
私はエプロンをつけて、そのまま玄関まで駆け降りた。香も小走りに来た。スレンダーな先生が広い玄関に立つとなんでかほっそーく見えたりする
「よお甘田、時和」
「こんにちは。先生の所は大丈夫でした?」
「雨漏りで済んだよ。お前ら大丈夫か?」
「大丈夫ッス。こいつが風呂場で転けて膝擦りむいたくらいで」
「ちょ、現場におったからてハッキリ言うなや」
「…げ、現場??膝大丈夫か?」
「ああ、うちが風呂入ってて地震起きて転んだんですわ。そんで…」
「心配になって風呂場行ったらしゃがみこんでたんで」
「…甘田、女子扱いしてやれ」
「やって寧、女扱い嫌やて言うんです」
「せやかて女やから舐められんのは嫌やねんて」
「そうか。ならいいか。
しかし…見れば見るほどお前ら夫婦みたいだな!」
「はいはい。ほんならさいなら」
「バイバイせんせ」
「はいさよなら。」
先生が玄関のドアを閉めると香は鍵をかけて私の肩を掴んで向かい合った
「な、何?どないしたん今日は?」
「…俺ら結婚するか!夫婦みたいやて」
「ええな!なら成人式とかの後にでも入籍すっか!」
「せやな。じゃあ付き合おか」
「おん。なんやっけあの魔法のことば」
「ああ、『前から好きやった、付きおうて下さい』」
「ええで。よし、香ちゃん今から彼氏さんやな」
「おん。お前彼女やけんな」
「おっけ」
あっさり付き合いました

