一夏の花



  
 そこで気づく。
 ――――私多分、この人の顔を知っている。


 何故だろう、とそれは分からなかった。だから、息を殺したまま彼の顔を見つめ続けた。視線に気づかれる、ということはそのときに限って忘れてしまっていた。



「遠野(とおの)さん、久しぶり」