それからあたしはまた先輩と会うようになった。


今までと違うことは、あれから先輩は毎日あたしを抱くようになった。


「先輩」


「なに?」


「先輩のこと教えてください」


いつもの場所で先輩にそう聞くと、先輩は嫌そうな顔。


「なんで?」


そういやそうに答えた。


「あたし達なにも知らないじゃないですか」


あたしがそう言うと、先輩は大きなため息をついて


「じゃあ、俺の過去を教えてやる」


上から目線だけど、先輩の過去について、教えてくれた。


「俺が、小3の頃に親が離婚した。俺は母さんのところに行かされて母子家庭で育てられた。けど離婚して1年後、男できやがった。それで育児放棄しかけたときに麻実の家族に引き取られた。」


今は一緒に住んでいるの?そう聞こうとしたら話が進んでしまった。


「麻実の両親に育てられたけど、3年前、麻実の父親が死んだ。葬式の時、泣きまくってる麻実を見てこいつを守りたいって思った。だけどアイツは男を取っ替え引っ替えで、やっと俺と付き合えたと思ったらすぐ他の男に行きやがった」


先輩の声はとても悲しそうだった。


「お前に分かるか?俺の気持ち、好きなのに振り向いてもらえないこの気持ち」


先輩?あたしも思ってるんだよ。


好きなのに振り向いてない気持ち分かるよ。


なんでだろう。言いたいのに言えない。


「頼む、もう俺の過去話は聞かないでくれ」


………あなたから言ったんだけどね?