それからあたしは毎日、約束した場所に行った。


麻実さんには悪いなって思ったけど、やっぱり先輩に会いたくて行ってしまう。


「生徒会こいよ」


今日も行って、先輩と他愛のない話をしているとそう言われた。


「ダメですよ。先輩たちの邪魔になります」


「今も十分邪魔になってるのにか?」


痛いとこを突かれた。


「……じゃあもう来ません」


「悪かったって」


もう来ないとか言ったけど、そんなことは出来ない。


放課後になったら、先輩のところに行く。


そういう習慣がついてしまった。


だから、急に先輩から離れたらおかしくなると思う。


「麻実さんはいいんですか?」


「あいつ、他に男いる」


は?あたしは思いっきり先輩を見た。


本気で言ってんの?


あの、麻実さんが?


浮気?二股?


「あいつ、意外とモテるんだよ」


前髪をかきあげそう言った先輩はとても悲しそうだった。


「先輩、あたしが麻実さんの代わりになります」


「は?」


しまった……つい口が……


なんてことを言ったんだあたしは……


「じゃあよろしく」


「ですよね……っては?」


「おんなじことは2度も言わねぇ」


「え?……」


「よろしくな」



付き合えた……けど、あくまでもあたしは''代わり''なんだ。


決して先輩はあたしのことを好きにならない。


嬉しい、付き合えて嬉しいはずなのに。


代わりでもいいから付き合いたい。


そう思ってたのに、なんで……


いざそうなると、嬉しくなくなるの?