小学校4年生の夏に、その人と初めて出会った。
杉田海喜。広島から来た転入生だ。
ルックスはダメで頭も悪い。
だけど趣味や好きなものが一緒で、だんだん仲良くなっていった。
アニメの話で盛り上がったり、行事では一緒に準備をしたり。
周りからは、付き合ってるんじゃないか。なんて噂されるほどだった。
そして、5年生になったばかりの春。
私は海喜に告白した。
海喜は少し照れながらも笑顔でOKしてくれた。
その日から、1日1日がとても楽しいものだと心から思えるようになった。
“あんなこと”が起こって2人の仲が壊れてしまうことを、その時はまだ知らずに幸せだったのに。