『いやぁぁああーーー!』



悲鳴が聞こえた。




『いや…た、たすけて、』






バキ…


ボコ…


ガン…




一瞬の出来事だ。


ほんの数秒。




それでも、その綺麗な動きは見惚れてしまうほど。




ーー美しい。





彼はすぐ闇の中へ消えてしまう。





『あ、あの…助けていただきありがとうございます……』




それでも歩く足をとめない。




『まって!あなたの名前は?』






ス…と立ち止まり彼は答えた。






「リンヤ」





月明かりに照らされた彼の顔は忘れることはないだろう。