「…あの、もしかして旅の方ですか?」

そう声をかけてきたのは
キルと同い年くらいの少女だった

「旅っつーかこの王国で開かれる
闘技大会に参加しようかと…」

キルは突然声をかけられ
少し戸惑っていた

別の王国と言っても
位置が近いためか
建物の作りや街並みは
カラサントによく似ている
違うのはカラサントより
大きく、城が王国の最奥に
位置していてどちらかといえば
馴染みある造りだ
しかし違う王国
迷子になってしまったキル

「よろしければ案内しましょうか?」

そう言ってにっこり微笑む少女
身長は小さく155くらい
髪は黒く腰くらいまで
伸び、やけに艶やかだ
まつ毛が長く二重でぱっちり
していて何処か気品を持っている
着ている服は白のワンピースで
ふわふわしている

「本当か!?頼む!実は迷子なんだ!」

キルはとびきり嬉しそうな顔を
すると少女に近づいた

「ふふっ…私はルカって言います」

笑顔で手を差し出す
ルカと言う少女

「俺はキルド・エンカ
皆からはキルって呼ばれてる」

キルも手を差し出し握手した

「それでは行きましょうか、キルさん」

「キルでいいよ、それと敬語じゃ
なくていいよ!」

「ふふっ…ではそうさせてもうわね」

二人は闘技大会が行われる
場所へと向かって歩き出した

道中ふと足を止めたキル

「どうしたの?」

ルカはキルの顔を覗きこんだ

「っ…い、いやたい焼き買っていいか?」

ルカの顔が近付き顔を赤くしながら
そう言ったキル

「たい焼き…好きなの?」

「超が付くほどな」

するとルカは笑顔になった

「私も好きなのたい焼き!
わー何か嬉しいなぁ!一緒に食べよ?」

どうやらルカも相当たい焼きが
好きなようだ

キルはたい焼きを二つ買うと
ルカに差し出した

「ほれ」

「ありがとうございます!
えっとお金は…」

言ってお財布を探すルカ

「いいよ道案内と同じ
たい焼き好きのよしみだ」

キルはそう言って財布を探す
ルカを止めた

「ふふっ…優しいんだねキルって」

嬉しそうにたい焼きが入った袋を
ぎゅっとするルカ

「…っ…知らない奴を道案内
してくれる奴に言われたくないな」

キルはまた顔を赤くして目を反らした

「?どうして目を反らすの?」

ぽかんとした顔で反らした
目の方に入り込むルカ

「っだぁー!うるさいうるさい!」

顔をぶんぶん振るキル
割とわかりやすい性格なようだ