ザッ…!

「…ふぅー…やっとついた…」

キルはカラサントとは
別の王国に足を運んでいた

カラサントの隣に
ある王国だ

「ったく…ジジイの奴…」

キルはぐーっと背筋を伸ばすと
そんな事をぼやいていた

そう、時は少し戻り
病室で会話していた三人

「考え?」

キルはぽかんとした顔で
国王を見ていた

「隣にある王国である大会が
開催されるようじゃ」

「大会?何のだ?」

「闘技大会じゃ
一般の者でも兵の者でも
参加は自由…毎回屈強な
者達が集まる」

「それに出ろって?こんな時に?」

「こんな時だからじゃ
おぬしは自分の力を未熟じゃと
感じたじゃろう…」

「…それは…」

キルは少しうつむいた

「おぬしは元から何かを
教えられるより
実戦で力を付けた方が
早いじゃろう」

「確かにな…お前喧嘩っぱやいしな」

クローズは少し小馬鹿にしたように
笑ってキルに言った

「うるせえよ!」

キルはそう怒鳴ると
国王を見た

「…わかったよ、出てやるよ
けど王国の警護は大丈夫なのかよ?」

「心配はいらん、クローズは
この王国に残りワシが
修行をつける
警護も一人あてがいるしの」

国王は顎の髭を少しさわっていた

そんなこんなで
今に至るのである

「唖人の力は使っちゃ駄目だったな」

そう、唖人は一般的には
よくない存在として知られているため
隠しておいた方が安全なのだ

「…それはともかく…」

キルは辺りをキョロキョロとした後

「迷子だぁぁああ!!」

雄叫びを上げると
両手で頭を抱えた

馬鹿である

「あの…」

「?」