(ジジイの結界は破かれてない…
こいつ、結界をすり抜けているのか?)

この王国は国王が放つ結界に
よって外敵の進入を拒んでいる
結界を破壊して進んできていないなら
どうやってこの王国に入った?

「お前どうやって入って来た?
…それに話だと?」

「結界はすり抜けたのではない…
私がこの場所に存在を飛ばしたのだ」

「…?存在を飛ばす…?」

「そんなことはどうでもいい…」

キルは構えをとって
険しい顔付きになる

結界を抜けた理由はよく
わからないがとにかく
目の前に表れた以上、
それが当然の行動だろう

「そう身構えるな…言っただろ?
少し話をしないかって」

ミラは両手を軽く振り
戦う意思が無いことをアピールした

「そうだな…俺もあんたに
聞きたい事がある…」

キルも構えを解いた

「この王国に攻めてきた異種の
存在は知っているな?」

「それに乗じて俺のとこ来たんじゃ
ないのかよ?」

そうキルの予想では
ミラは骸骨達の襲撃に乗じて
キルを狙ってきたのだ

「違うな…あれは偶然だ
私も後で知った事だ」

ミラはそう言った
つまりミラの襲撃と
骸骨達はまったく別の物らしい

「あいつらについてはこちらも
情報が掴めていない…」

「俺達にもあんた達にも
いい影響は無いみたいだな」

「ああ、私の王国も同じように
奇襲されたよ…殲滅したけどな」

どうやらミラの王国も
同じように襲撃を受けたようだ
つまりあの骸骨達は見境なく
攻撃を行っているのだろう

「まあ、あいつらが何なのかは
いい…お前は何故俺を狙う?」

「……唖人…それがどうゆう存在か
貴様も知っているな?」

「ああ…好きで唖人になった
訳でもないのに悪人として
語られるのは気分悪いけどな」

「そう、貴様が悪い訳ではない…
だが歴史が与える物は
唖人を認めないだろうな」

「で、お前もその一人で
俺達唖人を狙うってのか?」

ミラは首を横に振った

「いや、違うな…」

キルは不思議そうな顔をした

「何…?」

「私が貴様を狙う理由…それは――」

だがキルはその言葉を聞き取る
事が出来なかった

そう、突如丘から見える
森の中で爆発が起きたのだ

「!!」

二人は爆発原を見た

「奴等か…」

ミラはそう呟いた

「みたいだな…」