「……寝れないな…」

キルは自分の部屋の
ベッドに寝転がっていた

時刻は0時を過ぎていたが
眠れないようだ

それもそうだろう
あんな話を聞いた後だ
色々思うこともあるのだろう

「丘にでも行くか…」

キルはそう言うとベッドから
起き上がり家を出た

ザッ…

(唖人である俺がこの王国で
普通に生活出来てるのは
ジジイが唖人について
何か言ってあるんだろうな…)

キルはお気に入りの丘につくと
そんな事を考えていた

そう、唖人は歴史的な話だと
世界を混乱に導いた者達なのだ
そんな唖人の末裔が平然と
生活出来てるのはやはり
国王が裏で手引きしてるのだろう

(多分唖人がいるというのも
他の王国には隠蔽してんだろうな
となるとミラはどうやって情報を
掴んだ?…いや、俺が唖人だと
いうことは知らなかったみたいだから
命令を飛ばしたやつが、か…)

キルは色々な憶測をたてながら
景色を眺めていた

(恐らく他の王国にも唖人は
存在している…そいつらは
俺達と同じように普通に
生活出来てるのか?)

同じ唖人である者の心配…
キルとクローズは運がよかった
だけなのかもしれない

他の唖人達は恐れられ
差別を受けていないか?

それが原因で悲劇を
起こさないだろうか?

「あぁっ…くそっ…」

キルは頭をかきながら
丘に寝転がった

(それに…あの骸骨達…)

ザッ…

「君はここがお気に入りなのかな?」

「!?」

突然後ろから声をかけられた
振り返るキル

「…ミラ…か?」

疑問気味なのは
ミラが顔まで隠していたからだ
同じ格好をしているため
ミラなのかと尋ねているのだ

「少し話をしないか?
唖人の末裔、キルド・エンカ」