「はぁー、朝から害虫見るとか気分悪いわ、吐くわ」


「吐くわ、テンションがた落ちだわー」


二人で笑いながら害虫をネタにして遊んでいたら、後ろから覚えのある気配が私たちを追い抜いた。


ーー雛だ。

「ヒロくーん!!おっはよぉー!!」

それはそれは甘ったるい声で、月光の総長、中野弘(なかのひろ)に飛びついた。


「うぇ、このシーン誰得だよ。マジ吐くわ、早く校舎入ろ」

そう言って小走りぎみに走り出した智怜を追いかける。

人混みは少し移動していて、校門を塞いでなかったのですんなり敷地内に入ることができた。

教室に入り、席に鞄を置く。


ちなみに、私と智怜の席はとなり同士だ。