私、優奈。22歳。この頃の私といえば、凄く暗かった。親しい友達も、居なかったし、夢も、希望もなかった。ただ、普通に朝、起きて、会社に行って、仕事して、帰って寝て。その繰り返し。
何かを始めようと思えば、なんだって、出来るのに、始めようと思わなかった。今のままでいいと思っていた。
だけど、そんな私にも気になる男性はいた。同期入社した人。私は、この、人と出会った頃、この、男性のことが嫌いだった。なんだか頼りがいもなく、弱そうで、言いたいこともなかなか言えないダメな人。だけど一緒に仕事をしていくうちに、凄く気遣いで、優しい。性格だけではなく。話し方や、声も、優しくて近くに、いると落ち着くのだった。
そんな男性に惹かれていく自分と、惹かれてなんかいない。と、否定する自分。私の中にそんな2人がいて、結局、否定する自分が、勝っていたのか、男性とは、仲良くならない日々が、続いていた、それどころか、一言も話さない時もあった。
そんな日々を送っていた時のことだった。その、男性に彼女が、出来ていて、結婚が、決まったと言うことを聞いたのだった。そのことを聞いた時、涙は出なかったものの、ショックは大きかった。しかも彼女は、同じ職場の女の子。付き合って半年というスピード婚。
今さら、ショック受けて後悔したって遅い。私は、そんな気持ち当時やっていた。ブログに綴った。
【あ~ぁ~(>_<)切ないね~(>_<)けど、きっとまた、いい出会いがあるよ。元気出してね】
綴った数分後に、コメントをくれた男性がいた。それが孝也だった。
よくブログを見ている時この、孝也という男性が、日記を載せたり、写真を、載せていたのは知っていた。だけど、気にも止めていなかったので日記も、写真も、見ていなかったし、プロフィールすら、見たことがなかった。だけどこの時初めて、
(孝也君ってどんな人なんだろう)
と思い、少し興味を持ち始め、プロフィールを開けてみた。
孝也は、私より2つ年上のフリーター。カメラとギターが、趣味な人だった。今まで見たことがなかったため、気がつかなかったが、孝
は、沢山の写真を、ブログにアップしていた。私は、この日時間が過ぎるのも忘れて、ずっと写真を見ていた。
そんな孝也と、私が会う日は、すぐにやってきた。
何気にブログを見ていた時だった。ふっと孝也の日記が、目に入った
【久々に、みんなで集まって、騒ごうかと思ってます。昼間はカラオケ、夜は居酒屋で飲み会しまーす。沢山のご参加待ってまーす】
読み終わった後、すぐに孝也に、コメントをした。
【孝也君、私でも参加出来る?】
返事はすぐにきた。
【もちろんだよ!優奈ちゃんも参加してよ】
この一言で私は、参加する事にした。
この日から、私は、忙しくなった。それは、当日着ていく、服を探し始めたり、お化粧の勉強を始めたからだった、何故かというと、私は、ダサい。普通の、22才の女の子なら、かわいい服とか、メイクとか、憧れるのに、私は、全く興味なかった。兄妹が、男ばかりというのもあったが、全くお洒落というものに、関心が持てなかった。だけど、孝也に会えることによって、このままじゃダメだと思ったのだった。仕事の休憩中に、ファッション雑誌を読んだり、仕事の帰りに、本屋でメイク本を買ったり、色々頑張った。孝也に会える日には、かわいいまでいわなくても、普通の22才と同じような女の子で居たいと思った。
当日ー
私は、今までに着たことのないような、服を着て、メイクをして、家を出た。今日私が行く場所は、電車で1時間半かかる。22年間生きてきた中で、1人で遠出は初めてだ。降りた駅も初めて。見知らぬ土地。ドキドキする。待ち合わせ場所は孝也から、メールをもらって聞いていたが、改札を出て、右に行けばいいのか、左に行けばいいのか……近くに居た駅員さんに尋ねて、なんとか辿り着いた。
無事に着いたことを孝也に報告すると、近くに居るみたいだ。お互いの顔はわからなかったので、服装を教え合った。辺りを見回して探したが、全員が同じに見える。その時、後ろの方から視線を感じ振り向くと、1人の男性がこちらを見ていた。
(あれ………もしかして……)
そう思ってるとその男性は、私の方にやってくる。
『優奈ちゃん?』
男性は、私に問いかけた。
『はい!』
私は、元気よく返事すると男性は、少し笑い、
『孝也です』
と言った。
これが2人の初対面だった。