麻衣子とは幼稚園で出会った。
いつもくるくるとした髪を二つに結んでいて―もちろんそれは天然パーマだったのだが―幼子ながらにお姫様に憧れていた成海にとって、麻衣子の髪がたとえ天然パーマであろうと羨ましかった。当の麻衣子も自分の髪は自慢の髪だっただろう。最も、その後麻衣子はストレートの髪を好み、ストレートパーマをかけてしまったのだが。


そんな風に見かけが女の子らしい麻衣子は行動もやはり女の子らしかった。外見も、性格も正反対の二人だからこそ、こんなに長い間の友情が続いているのかもしれないと密かに成海は思っている。

麻衣子に特定の、いわゆる好きな男の子ができたのは、幼稚園の年長組の時だった。
同じクラスに居た、浅倉愁という男の子。
浅倉愁はかなりのいたずらっ子であった。男の子達を統率してはいたずらを働き、他の園児を泣かしては先生を困らせていた記憶がある。

殊に、麻衣子には他の子よりもよくちょっかいを出していたように思う。それも今考えると、よく言う好きな子ほどいじめたくなるという心境だったのだろうか。

初めのうちは、心から浅倉愁を嫌っていた麻衣子だったが、ある事件をきっかけに麻衣子に心の変化が訪れたのだった。