慎二はふざけた顔をしながらそれでいてまともな口でいう。
「いや、あの生徒会長さんがなんか理科室で怪しいもん持って出て行ったからさ。なにすんのかなあーっておもって着いてったらこんな状況だったわけよ。ついでに会話も聞いちゃったぜ(笑)花蓮ちゃんあの人と訳ありなんだー。」
もう慎二には知られてしまったか。
「でもお前、それならどうしてもっと早く助けにきてくれなかったんだ。」
慎二は相変わらずニコニコして答える。
「え?だってさー、あの人敵に回したら相当ヤバいって噂だぜ?俺だってバカじゃないし敵になりたくない。圭一君ひとりでなんとかなるかなあって…。」
「お、お前…、助けてくれたのはありがたかった。でももう少し遅かったら花蓮は…。」
慎二は俺たちに背を向けた。
「ああ、花蓮ちゃんは退学だったろうね。」
「おい慎二!」
俺は慎二の肩をつかんだ。
「なんだよ圭一、まだなんか文句あんのか?」
別に文句ってわけじゃなかった。
けど、いつもの慎二らしくなく、やけにクールなことに気が障っていた。
「冷たいかもしれないけどさ、花蓮ちゃんとはそんな仲いいわけでもないし、そこまで危険おかしたくなかったんだよ…。」
慎二…、やっぱりこいつはただのバカではなかった。
こいつのふざけた顔も会長と同じように仮面、本性は超クールな天才的頭脳の持ち主だったんだ。
「じゃあな圭一…。なんか気まずいし、俺は一人で帰るわ。」
俺は慎二の肩から手を離し、夕暮れに帰る慎二の背中を静かに見つめるしかなかった。

