「その方が麗さんらしいですよ。

 …ただ、
 白龍には相応しくないですね」




真顔になったあたしを見て
そう言った崎沢は、

また不気味な笑顔を浮かべる。





「…黒龍総長、つまり海龍は
 海の底でひっそりと暮らす。

 だけど、白龍は違いますよ。
 天帝に仕えているとされた龍。

 

 麗さん、
 あなたはこれから
 鬼神組に仕えるのです。

 白龍が全国№1暴走族になれば
 鬼神組が全国№1になったも
 同然ですからね」





「…っ、」




…違う、黒龍は、

お父さんが思い描いた黒龍は、





「…海を守る、

 仲間を守る、かけがえのない存在…」




悪役なんかじゃないんだ、



そう言いたかったのに




「そんなことはどうでも
 いいんです」




崎沢はまた、
あたしより一歩前を進む。