ホストの憂鬱

昼までと聞いて、俺は正直、よくやるなと感心しかしなかった。

この時の俺は。

マスターは二人の飲み干したグラスに焼酎をつくり終えると、カウンターの上に、ボトルネックを置いた。

俺はそれを愛ちゃんのほうにすっと、渡した。

慣れていないためか、どうもそういった行為が苦手だったし、何を書けばいいのかわからなかったから。

愛ちゃんは夢中でネックに書き込んでいた。

書き込まれた内容はキョンと愛とかかれ、名前を大きくハートマークで囲んでいた。

後になって気付いたのだけど、それは愛ちゃんの意思表示と二人だけのボトルだと意味していた。