ホストの憂鬱

トラッシュは満員だった。一見しただけで、客のほとんどが同業者だとわかった。

「何飲む?」

俺達の前についた、マスターが聞いてきた。

「何飲む?」と、俺は愛ちゃんに聞いた。

「何でもいいよ」

「それじゃあ、焼酎入れます」

「ありやす」とマスターが言うと、トラッシュのスタッフもそれに呼応した。

やっぱり、どこのお店も一緒なんだと思った。

「水割り?お茶割り?ロック?」と聞いてきた。

最後のロックは冗談ぽく言った。

「ウーロン割りで」と俺はこたえ、愛ちゃんも「同じで」と、言った。