お向かいさんに恋をして

「なぁさくら、いつも弁当持ってるよな？」

「え、うん。私基本自炊だから……」

なんで急にお弁当の話し？
不思議に思いながらも返事をする。

苦手意識からか、ちょっと声のボリュームが落ちた。

「なぁ俺にさ、弁当作ってくんないっ？！」

「え……？」

「えっ。安達、急に何言ってんのっ？
迷惑でしょっ」

驚いて黙っている私の横で、きなこちゃんは彼を嗜めている。

「……ちぇっ……。
やっぱ、だめかぁ……」

さっきまでの勢いはどこへやら、安達くんは肩を落として見るからにしょんぼりした。

「俺さ、今独り暮らしでいっつもコンビニ弁当か外食でさ。
ま、作ってもカップラーメンとかレンチン出来るやつとか。

金はかかるし味には飽きるし。手作りいいなって思っちゃってさ……」

安達くんは、校内でのカフェでのきなこちゃんと私の食事風景を何度か目撃してて、私の手作り弁当に興味を持った、らしい。