お向かいさんに恋をして

「さくらちゃんは秋中さんがイケメンだからじゃなくて、秋中さんだから一目惚れしたんだね、きっと。

で、たまたま秋中さんがイケメンだった、と」

うんうん、惹かれる何かがあったんだねぇ、と、きなこちゃんは頷いている。

「よっ! きなこ、さくらっ! 
おっはよっ!」

きなこちゃんの推測に耳を傾けて、そうなのかなぁとぼんやり考えていた時だった。

私ときなこちゃんはドンッと強めに背中を叩かれ、声をかけられた。

振り返らなくてもわかる。
こんなことするのは一人しかいない。

「安達くん、痛いって」

「こら安達っ! それやめてったら!
わたし達女の子なんだよ?」

「女の子ねぇ~」

ニタニタ笑う安達くんをきなこちゃんは睨んでいるけど、決して仲が悪いわけではない。

これはじゃれている、らしい。