留奈さんがスナック菓子に伸ばしかけた手をピタリと止めた。

「足音よ、秋中さんだったりしてね?」

えっ? まさか、噂をすればっ?!

「ちょっと覗いてみようよ、ね?」

留奈さんはおもむろに立ち上がり、玄関へ向かうとドアをちょこっと開けて廊下を伺い始めた。

知らない人が見たらどう思うだろう? 
ドアの隙間から若い女性がじっと外を伺っていたら……。

結構ホラーじゃないかな? 
しかもうっかり目でも合っちゃったりしたら、かなりビビると思うんだけど。

しかもここ、わたしの部屋。わたしがやってると勘違いされても困る。

「留奈さん、またそんなことして」

留奈さんに声をかけるも、彼女はやっぱり気にせずに廊下を眺めている。