シミやシワの一つもない滑らかな顔に、涼しげな瞳。
ふんわりとセットされたふさふさの髪。

細身のスーツを着こなしていて、立っているだけで絵になる格好良さ。

私の思うおじさんの要素は、一つどころか微塵も感じられない。

「見えない……!」

本当、おじさんだなんて信じられない!
  
「若い子にそう言って貰えると嬉しいね。
あ、僕は秋中。改めてよろしく」

「はい! あの、これ、よかったらどうぞ! では、失礼しました!」

お兄さんの笑顔にまた悩殺されそうになった私は、押し付けるように菓子折りを渡して頭を下げ、慌てて退散した。

閉めた自室のドアの内側に寄りかかり、高鳴る胸を両手で抑える。

「お兄さん、秋中さんって言ったっけ……。
超かっこよかったぁ」

超イケメン。
しかも優しい。

そんな人がお向かいさんだなんて、私、すごくラッキー!