お向かいさんに恋をして

「波江さんのお隣さん?
あ、じゃあ僕の部屋の斜め向かいの方?

そういえば朝、お会いしましたよ……ね?
秋中です。よろしくお願いします」

「はいはーい! こちらこそです!」

秋中さんと留奈さんが挨拶を交わした。

「あ、そうだ! 
滅茶苦茶いいこと思いついた!」

留奈さんが、突然そう声を上げながら手を叩いた。

「これからお花見?」

「そりゃあ楽しそうだけど、今からでは難しいのでは?

今丁度シーズンだから、公園の場所取りは無理だよ? 僕は経験者だからよくわかる」

秋中さんの意見に、私も同意した。

「そうですよ留奈さん。

お花見の席とりの大変さは、会社員の父を見ていればわかります。
並大抵ではないんですからね?

この時間からは場所なんて絶対ありませんって」