お向かいさんに恋をして

今日のきなこはいつも以上にうるさいし、酔っぱらいが出来上がってるし、さくらは目、赤いし……。マジでどうなってんだ、今日のお前ら。

安達くんの小さな呟きに、私はドキッとしせ慌てて彼から視線を逸らした。

きなこちゃんがいつも以上に気遣って言葉が増えているのがバレてるのは、二人の仲だから理解出来るとして……。

薄暗い店内で、私の、収まってきた目元の赤さに気づくなんて……！

安達くんってば、凄い洞察力の持ち主！

これ以上彼に何かを悟られてはいけない……！

私は視線を逸らしたまま、話題を変えることにした。

「あ、あ、安達くん、そんなことより、文化祭楽しかったね？ 色々あってびっくりしちゃったよっ！ あ、あはは……」

「……あのなぁさくら。お前、マジで分かりやすいって。何はぐらかしてんの」

安達くんはため息をつきながらくつを脱ぎ、私の隣に腰かけた。