お向かいさんに恋をして

「なにやってんだ? お前ら」

「あ……」

声をかけられて個室の入り口に目をやると、安達くんが怪訝な表情を浮かべ、こちらを伺っていた。

さっきまでの居酒屋店員さんスタイルではなくて、昼に見かけた私服姿だ。

「あ、えっと……。お仕事終わったの? お疲れ様、安達くん」

「あ、おお。今日こっちは早上がりで……ってそんなんどうでもよくて。

何なんだ? この状況。お前ら今日おかしいよな、文化祭の途中辺りから」

さっきも似たような事言ったけどさ、と、付け加えながら安達くんは頭を掻いている。

「安達! また変なタイミングで現れたっ!」

「あらちくんら~」

きなこちゃんも留奈さんも、彼に気付いて声をかけた。

「お? 留奈さん出来上がってんな?」